冷静と物欲の間で

ガジェット好きな私の静かな生活

外付けDACでハイレゾを聴く

Apple Musicのライブラリ等にある音楽は、普段はHomePod miniとかAirPods Proで聴いている。だが、HomePod miniはともかくAirPodsのようなBluetoothのワイヤレスオーディオは、伝送の過程で圧縮がかかるためワイヤードより音質面では不利になる。せっかくのロスレス音源も、情報を削ぎ落とされて耳に届いている。なんだかもったいない気がするが、敢えて利便性とか見た目のスマートさを優先させているわけだ。

ワイヤードなヘッドフォンなら、そういう中間搾取みたいな事もなく情報が100%耳に届くので、じっくり聴きたい時は愛機MacBook Airにヘッドフォンを挿している。ちなみに今使っているヘッドフォンはSONYの定番スタジオモニターMDR-CD900ST。音楽を楽しむというより録音モニター用なのだが、なんでそんなものを持っているのかというと、以前レコードとかカセットテープのアナログ音源をデジタル化してMacに取り込んでいた事があり、当時持っていた、というか今も家にあるが、AKG(アーカーゲー)のK501という開放型ヘッドフォンで録音チェックをしたところ、開放型のため周りの雑音に邪魔されて作業に集中出来ないので密閉型が欲しくなり、どうせ買うならプロ向けのしっかりした物をという事で買って来た、というわけ。プロでもないのに。

 

AKG K501

AKG K501。繊細だが低音のボリューム感に乏しく物足りない音。

 

SONY MDR-CD900ST

SONY MDR-CD900ST。プロ用らしくキチッとした音だが長時間の鑑賞はちょっとキツいかも。

 

今まではそれでよかった。ロスレス音源は量子化ビット数が16ビットないし24ビット、サンプルレートは44.1kHzないし48kHz。つまり一般オーディオCDと同等かそれよりちょい上のレベル。ちなみに愛機MacBook Airは32ビット96kHz対応なので、とりあえずは問題ないと思っていた。

MacBook Airの外部ヘッドフォン端子スペック

しかーし、最近は更にその上を行く192kHzの"ハイレゾロスレス"が登場して来て、この恩恵に浴するにはこれに対応する高性能DACを搭載した外部ハードウェアが必要になるという。

ハイレゾ変更時のアラート

えぇぇ...?

ただ、欲さえかかなければこれは必ずしもマストアイテムではない。現状に満足していれば無用の代物なのだ。それでも、世の中にそういうものがあって、ある程度の投資で享受出来るなら、手を出したくなるのが人情というもの。

というわけで、最初は有名オーディオメーカーDAC内蔵ヘッドフォンアンプを探していたのだが、そんな中YouTubeで興味深い動画を見た。それによると、いわゆるオーディオメーカーの製品はそのメーカーなりの音作りというか味付けをされている事があり、必ずしもフラットな特性になっていないらしい。逆に楽器メーカーが出している製品だと、その使用目的から音に偏りがなく素直なサウンドが得られるという事だ。なるほど、音楽制作で使う機材はクセのないフラットな特性である事が何より重要なわけだ。ちなみにその動画がこちら。

【ゆっくり解説】PCオーディオをはじめよう!・・中級編~USBDACの選び方、おすすめ紹介 - YouTube

そういう事ならと、なるべくコスパが良くて使いやすそうなオーディオインターフェイスを探し求め、巷で高音質と評判のMOTU M2をポチってみた。機種選択についてはSTEINBERGのUR22Cと最後まで迷ったが、入出力レベルの表示パネルとか電源ON/OFFスイッチ、RCA出力端子がある事からMOTU M2を選んだ。

MOTU M2オーディオインターフェイス

MOTU M2。本来の付属品はUSBケーブルと下の写真の英文の説明書のみだが、輸入元の(株)ハイ・リゾリューション又はその正規ディーラーから購入すると日本語の保証書とカスタマーサポート案内が付く。

付属の資料

 

主なスペックは次の通り。

  1. ダイナミックレンジ 120dB
  2. ESS Sabre32 Ultra DACテクノロジー
  3. 量子化ビット数24ビット
  4. サンプリング周波数192kHz
  5. USB Type-C バスパワー
  6. 2チャンネル アナログ入出力
  7. マイク入力 -129dBu EIN
  8. ループバック対応

楽器を演奏したり配信する事は恐らく一生ないと思うが、ダイナミックレンジ120dBにESS DACテクノロジー、24ビット/192kHzというスペックは大きな魅力。これでハイレゾロスレスもドンと来い!だ。

当面はシンプルにヘッドフォンアンプとして使って行くが、Macに直挿しした時と比べて音質にどれだけ違いがあるのかチェックしたところ、S/N比が高く音の分離も良いので一音一音が際立っている。うっすらとあったモヤが晴れて見通しが良くなった感じだ。いいな!コレ!

さて、いよいよハイレゾロスレス音源での検証。Apple Musicでハイレゾロスレス音源を探したところ、マイルス・デイヴィスのKind of Blueが登録されていた。しかもハイレゾの他に16ビット/44.1kHzのロスレスバージョンもあるので、比較するには持って来いだ。1曲目のSo Whatを聴き比べてみたが、ロスレスバージョンが普通にキレイに聴こえていたのに対し、ハイレゾの方はその場の空気感まで伝わって来るようなリアリティが感じられた。やっぱり違いはあるんだと、つくづく思った。このKind of Blueについては180g重量盤のレコードを持っていて、ピュアオーディオのシステムでよく聴いているのだが、24ビット/192kHzのハイレゾロスレス音源の響きはこのアナログオーディオとよく似ている気がして、なんだか不思議。

あ?でもないか。ビット数やサンプリング周波数を高くするのは、本来のアナログサウンドにより近づけるためだっけ。

今回の買い物は正解だった。一ヶ月もウダウダ悩んだ甲斐があった。これからはヘッドフォンで聴く機会が増えそう。だけどそうなるとCD900STはちょいとツラいな。何か考えるか。