冷静と物欲の間で

ガジェット好きな私の静かな生活

ウチのプリンターはまだイケる

ウチのプリンターEP-904Aが、なにやら不吉なメッセージを表示して来た。

「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に近付いています。お早めにエプソンの修理窓口に交換をご依頼ください。」

最初のエラーメッセージ

 

たまたまMacで写真を1枚プリントしようとしたところだった。ちなみに廃インク吸収パッドというのは、普段プリントする時とか、ヘッドクリーニングの時に出る、少量の廃インクを吸収するパーツの事。とりあえずプリント自体は出来たのだが、少し色ムラがあったのでヘッドクリーニングしてからもう一度プリントというところで、今度は「パッドの吸収量が限界に達しました。」のメッセージが。

致命的なエラーメッセージ

 

こうなるともはや「電源を切る」一択となり、もう完全にアウト。吸収パッドを交換しない限りはどうにもならない。いつかはこんな時が来ると思っていたが、購入から10年も経った今になってこんなメッセージ出されても、パーツ交換なんかしてもらえるんだろうか?

面倒くさいから思い切って買い替えてしまおうか?と思ったが、数日前にインクカートリッジを交換したばかりなので、今買い替えるのには抵抗がある。調べてみると、このEP-904Aの部品保有期限は2018年9月30日までで、それ以降は修理受付不可らしい。それでも知らないフリしてEPSONの修理受付に問い合わせてみたが、やはりダメー。

それでもなんとかならないかとネットで調べたところ、純正品ではないがパッドの交換セットが流通していて、Amazonでも入手出来る事が分かった。日本製で価格もそれほど高くないので(1,500円程度)買ってみた。

廃インク吸収パッド交換セット

 

セットの内容は以下の通り。

  • 廃インク吸収パッド 3枚
  • 手袋 2枚
  • 交換マニュアル
  • カットガイド

まず床に新聞紙を敷き、その上にプリンターを裏返しにして置く。セット付属の手袋をはめて作業開始。プリンターの機種別にマニュアルが用意されているので、交換作業は迷う事なく進められそう。

 

吸収パッド取り出しの図-1

プリンター背面にある二つのビスのうち、向かって左側のビスを外す。

 

吸収パッド取り出しの図-2

吸収パッド取り出しの図-3

ビス穴のすぐ下にある横長の穴に細いドライバーの先などを挿し込み、少し力を込めてグッと押し込むと、吸収パッドが収まっているケースのロックが外れるので、そのままゆっくり持ち上げてケースを取り出す。

 

吸収パッド取り出しの図-4

ケースを取り出すと、廃インクを吸収パッドに誘導するチューブが露出する。

 

吸収パッド取り出しの図-5

吸収パッドは、長年にわたって染み込んだ廃インクで真っ黒になっていたが、なぜか1区画だけほとんど汚れていない箇所があった。ケース中央に小さなプラスチックのボックスがあるが、この先端部に先述のチューブがつながるようになっているので、ケースを取り付ける時には忘れずに先につなぎ直しておかないと、後で大変な事になるかも。

 

パッドケースクリーニング

グショグショの吸水パッドを全部取っ払ってからキレイに水洗い。

 

カットガイド

配置図

EP-904A用のガイドに従ってハサミ等で交換用吸収パッドを切り抜き、配置図を参考にケース内に挿し込んで行く。ガイドにはなぜかプラスチックボックスの下に配置する分が書いてなかったが、適当に薄く切ったのをはめ込んでやった。

 

パッド詰め替え完了

なんとか配置図通りに出来上がったので、ケースを元に戻して作業完了!

だが、ここで新たな問題が発生。電源を入れたらまたエラーメッセージが出る。なぜ?調べてみたら、どうやらエラー解除キーというものが必要らしい。しかもこれ、有料なんだな。そういえば、交換マニュアルに「本製品は廃インクエラーを解除できる製品ではありません。」と書いてあったっけ。何の事か分からなかったが、そういう事か。仕方がないので入手方法を調べたら、これもAmazonで入手出来、価格も1,000円程度という事で即決。キーはすぐにメールで送られて来たが、それによるとまずWIC Reset Utilityというソフトをインストールして、そこに解除キーを入力するらしい。ちなみにWICとはWaste Ink Counterの事で、要するに廃インクカウンターをリセットするソフトという事か。ハイハイ、分かりましたよ。メール本文の案内に沿って、操作マニュアルとリセットソフトをダウンロードし、起動させようとしたら今度はmacOSのセキュリティーが「開発元が不明」と言って来て起動出来ない。あぁ、面倒くさい...。システム環境設定「セキュリティーとプライバシー」の「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」で、このソフトを指定してようやく起動。その後はマニュアルに沿って順調に進み、無事にエラー解除までこぎ着けた。電源を入れ直して動作確認したところ、ちゃんと動いてくれている。なんだかんだで2,500円ほどかかったが、もしもこれが部品保有期間内でエプソンに修理を依頼した場合、部品代と工賃で4,000円(送料別)になってたはず。それを考えると、お得にメンテナンスが出来たと思う。

ちょっとドタバタしたけど、これでまたしばらくはプリンターを買い替えずに過ごせそう。

すべらないペン先にモヤモヤ

昨年の今頃からエレコムのペーパーライクフィルムを使い始め、その書き味にはそこそこ満足していたのだが、画像や映像のコントラストが甘めに映るところがやっぱり不満でモヤモヤしていたところに、同じエレコムから「すべらないペン先」が発売されたと知ってから、これに替えるべきかどうかで悩んでいた。

Apple Pencilの書き味を向上させるには、ペン先が必要以上に滑らないような処置が必要だが、出来ればiPadのディスプレィは何も着けずに裸のままが望ましい。必要なのは、ペン先を走らせた時の摩擦抵抗。そうだとすれば、ペーパーライクフィルムを撤去してApple Pencilのペン先を滑らない物に取り替えるのが妥当な対策ではないか?頭の中では既に結論が出ていたが、その一方で「せっかく2,000円余り出して買ったフィルムを剥がすのは勿体ない」という思いが二の足を踏ませていた。

それでも、熟慮の結果「すべらないペン先」を購入。

エレコム すべらないペン先 パッケージ

パッケージにある通り、Apple Pencilの第1世代と第2世代に対応し、ペン先は3個セット。この製品の売り文句は「心地良い抵抗感でしっかりとした書き心地のすべりにくいペン先」という事だ。ちなみに、パッケージの裏にペーパーライクフィルムとの併用はペン先の摩耗が早まる恐れがあると注意書きがあるが、併用するなとは書いてない。でもペン先を長持ちさせようと思うなら、併用はしない方がいいに決まってる。なんだかなー?もうひとつ、利用するアプリによって斜め描写など、一部純正品と異なる動作をする場合があると書いてあるのも気になるなぁ。

早速、付け替えてみた。

純正ペン先

エレコム すべらないペン先

上が純正ペン先で、下が今回購入したエレコムの「すべらないペン先」。ペン本体との隙間の空き具合以外はまず見分けがつかないが、触ってみるとエレコムの方は少しザラザラしている。

肝心の書き味はどうか。使用にあたって既に剥がしてしまったペーパーライクフィルムとの体験比較になるが、摩擦抵抗は若干弱くなったものの、ペン先はすべる事なく止めたいところで止まってくれる。ペン先を画面に当てた時の感触は「カチン」ではなく「コン」という感じで、これはフィルムを着けていた時とさほど変わらない。書き味としては概ね良好といったところか。

だけど、「紙に書いているような」感触にはまだまだ程遠い気がするなぁ。

 

-- 追記 --

うっかりしていたが、ペーパーライクフィルムの購入目的のひとつに、流れるような筆記体を書けるようにしたいというのがあったのを、フィルムを取り去った後で思い出した。案の定、ガラス面では流れるような連続筆記が出来なくなった。そうかといって今更ペーパーライクフィルムには戻りたくないし。またやらかしちまったかと思ったが、以前カメラのネガフィルムをスキャンするのに使っていた手袋の人差し指と親指の先端をカットして使う事で解決。ペーパーライクフィルムを貼っていた時よりこちらの方がかえってスムーズに書ける気がする。

手袋加工

Apple製入力デバイスにさよならを

Macユーザーなら、Apple信者なら、周辺機器は全てApple純正品を使うべし。この信念に基づいて、マウスやキーボードはもとよりプリンターやスキャナー、Wi-FiルーターまでApple製で固めていた事があった。後で間違いだと気付いたけど。

そんな事もあって、マウスなどのポインティングデバイスは、結局馴染めなかったトラックボールを別にすれば純正品をずっと使って来た。だが、それもとうとう終焉を迎える事に。

ポインティングデバイスは、Magic Trackpadをメインに据え、Magic Mouseをサブに使ってしばらくはまあまあ快適だった。例えば、Webブラウジングなど通常の操作ではトラックパッドを使い、写真のトリミングとかピクセル単位の精緻さが必要な時はマウスで、という具合に。トリミングはトラックパッドでも出来ない事はないのだが、範囲の設定中にカーソルを意図した位置で止めようとして、トラックパッドから指を離した瞬間に微妙にズレてしまう事があり、これが何気にストレスなんだな。

そんなわけで、トラックパッドとマウスの二刀流でやって来たのだが、最近はそんなやり方さえ疑問に思えて来て「トラックパッド要らなくね?」と思うようになった。初心に帰って、マウスだけでやっていけないかと。

ここで、初めてマウスについても見直す事にした。この先もMagic Mouseでいいのか?

 

Apple Magic Mouse

Magic Mouseは、見た目はボタンらしいものがある訳ではなく、上面全体がひとつのボタンになっている。右ボタンクリックは、マウスの中心線より少し右寄りあたりをクリックすればいいし、スクロールは縦・横ともマウス上面を指でなぞるだけで滑らかに動く。Webページ間の移動は、雑誌のページをめくるように指先で軽くフリック。それだけなら、まさに「魔法のような」ポインティングデバイスに見えるのだが、弱点と思える部分もなくはない。このマウスの持ち方は、基本的にはかつてのワンボタンマウスと同じで、親指と中指でマウスの両脇を支え、人差し指だけを上面に置くのだが、カーソルを移動させている時に人差し指がちょっと滑っただけで意図せず画面がスクロールしたり、Webページが前後に移動したりで、これには以前からストレスを感じていた。他には、右クリックしたつもりが位置が悪くて反応しなかったりとか。やっぱり、変な意地なんか張らずに2ボタンマウスに替えた方がいいのか。

というわけで、何十年ぶりかで2ボタンマウスを買う事にした。どうせなら2ボタンだけでなく、進む/戻るボタンもあったほうがいい。メーカーは、とりあえずマイクロソフトは自分の中でブランドイメージ最悪なので、選択肢から除外。マウスやキーボードなどの周辺機器で定評のあるロジクールから選ぶ事にして、静音マウスのSignature M650に決定。たまにはネットじゃなく実店舗で買おうと、近くのコジマ電気で買って来た。このマウスはMサイズとLサイズがあるのだが、実物のサイズが確認しやすいブリスターパックなので、パッケージの外から握ってみてLサイズに決定。実店舗はこういうところが便利だな。Apple WatchでピピッとQUICPay決済。

logicool Signature M650 パッケージ

買って来たSignature M650。ちなみにLサイズは手の大きさ(中指の先端から手首まで)が19cm以上でマッチするらしい。自分の手を測ってみたら奇しくもちょうど19cmだった。

 

logicool Signature M650

このマウスには、SilentTouchというロジクールの独自技術が採用されているそうだが、実際にクリックすると確かに左右のボタンのクリック音や、スクロールホイールの操作音はほぼ無音。ただ、センタークリックは控えめな感じで「コツン」と鳴るし、サイドボタンは普通に「カチッ」と鳴る。だからどうだという訳じゃないけど。ちなみに横スクロールはサイドボタンをどちらか押さえながらスクロールホイールを回すのだが、従来のスクロールホイールを横に傾けるのとどっちがいいかは慣れの問題か?

 

SmartWheelスクロール

また、このマウスにはSmartWheelスクロールというもう一つの目玉機能があって、普通にスクロールする時はソフトなクリック感で一行ずつホロホロと動くのだが、ちょっと勢いを付けて転がしてやるとビューン!と高速スクロールして、一気に何十ページもすっ飛ばす事が出来る。以前勤め先で使っていたマウスにも高速スクロール機能はあったが、モード切り替えボタンを先に押しておく必要があった。このひと手間がないだけでも快適さにつながると思うので、こういうのは大歓迎。

その他で興味を持った事として、バッテリーがやたら長持ちするらしい。このマウスは充電式ではなく単三形乾電池1本を使用するのだが、公式ページによると同梱のUSBレシーバーでLogi Boltで接続した時の電池寿命が最長でなんと24ヶ月!Bluetooth接続でも最長20ヶ月だと。まぁ、「使用状況により異なる場合があります。」と但し書きはあるが、それでも結構長持ちするんだな。

同梱のLogi bolt USBレシーバーと単三形乾電池

 

これで、ウチのApple純正入力デバイスは、完全に淘汰されたか。

この道はいつか来た道

ああ、そうだよ。

Macハイレゾオーディオを愉しもうと、外付けのオーディオインターフェイスを導入し、モニターヘッドフォンを新調した。モニターヘッドフォンは既にSONYの定番MDR-CD900STMDR-7506を持っているが、これらの音質に納得してなかったので、結局オーディオテクニカのATH-M50xを購入したわけだ。SONYと違って低重心な音質に新鮮味を覚え、しばらくはこれで愉しめるなー、と思っていたのだが。

曲を色々聴いているうちに、少しずつ違和感を覚えるようになって来た。「この曲のこの部分、もっとフワッと広がるんじゃなかったっけ?」とか、「この歌手のSの発音は、もっと鋭かったのでは?」とか。要するに、先のSONYのヘッドフォンをなんだかんだと文句言いながら聴き続けているうちにすっかり耳が慣れてしまい、急に音色の違うヘッドフォンを使い始めたものだから、そのギャップに戸惑っているという事か。

ATH-M50xで低音の量感がアップしたのはいいが、その代わりに高音の煌めきが感じられなくなった。また、ハイハットシンバルの「シャーン...」とか、ヴァイオリンの最高音の「キィィー...」とか、楽器から発せられた音の振幅が減退して行って消え入る時の、空気感みたいなものが感じられなくなった気がする。とにかく、全ての音域に圧がかかっているようで、軽やかさがなくなった感じ。モーツァルトのディヴェルティメント(嬉遊曲)がレクイエムに聴こえると言ったら大げさかも知れないが、あくまで個人の感想としてはそんな感じなんだな。

ここで、改めて先述のSONYモニター2機種について音質傾向の再確認をしてみた。あらかじめ、エイジング用CDを3時間ほどボリューム大きめで連続再生してから確認したところ、あら不思議。不満の最大の原因だった、高域の耳障りなところが取れてストレスを感じなくなった。MDR-7506では高域寄りのバランスに変化はないようだが、全体に角が取れて柔らかくなった気がする。つまり、これがこれらの機種の本来の音であり、ここに来てようやく本領を発揮し出したという事なのか。

という事は!

ATH-M50xは無用の買い物だった、という事になる。

あぁ、またやっちまったー orz。これから買い物する時はもっと慎重に考えないとな。

確かに、SONYのヘッドフォンは最初の印象が悪くてあまり使ってなかった事もあり、エイジングはほとんど出来ていなかったかも知れない。今後はかけ心地と疲れにくさと低音の分かりやすさで、MDR-7506を普段使いにしよう。

SONY MDR-7506

結局、最初の機材に戻るわけだ。

こういうのを探してた

iPhoneとかiPad Airを気軽に立てかけられるようなシンプルデザインのスタンドを探していた。Amazonとかで検索をかけると、大概アルミ製のスタンドが最初に出て来るのだが、最近は木の風合いに凝っているのでスタンドも木製のものが欲しい。それで検索ワードに"木製"と付け足して再検索したところ、まさに狙っていたようなデザインのスタンドが見つかったので即ポチる。

kalibriスマホスタンドパッケージ

カリブリというメーカー(ブランド?)の製品らしいが、どうせ中華系のヤツだろうと思っていたら、箱に印字されているのは意外にもドイツ語。

kalibriスマホスタンドパッケージ裏

箱の裏側を見ると、あーなるほど。

要するに、ベルリンはイェーガー通り41番地にある、KW-コマース有限会社取り扱いのカリブリというブランドの製品、というわけだ。ちなみにモノは中国製。比較的新しいブランドで、この他にもデジタルガジェット用のアクセサリー製品を色々出しているらしい。

 

こういうデザインは嫌いじゃないな。

kalibriスマホスタンド後面

kalibriスマホスタンド正面

付属の滑り止め

底面に貼り付ける滑り止めが付属。もちろん貼らせてもらいます。

iPhone縦置きの図

iPhone縦置きの図。

iPhone横置きの図

横置きで映画鑑賞の図。

iPad Air横置きの図

iPad Airでも横置きなら大丈夫だが

iPad Air縦置きの図

縦置きはさすがに危なっかしい。iPad miniなら縦でもいけるか?持ってないから分からない。

 

頭の中で思い描いたようなものを見つけるのはなかなか難しいものだが、今回はあっさり見つかってよかった。

求めよさらば与えられん

オーディオインターフェイスなんて物を買って来て、ロスレスオーディオの密度感とかハイレゾロスレスの生々しさに触れてしまったら最後、もうあとには戻れない。

AAC音源に慣れ切った耳で聴くロスレスはやはり新鮮だ。圧縮によって音楽がこれほど軽薄なものになるのかと今更ながら思い知らされる。「AACはMP3より圧縮効率が高いからナンチャラ...」なんて話は今や無意味、過去のものとなった。そもそも音楽を圧縮するなど冒涜以外の何者でもない!とまでは言わないが、少なくとも「ミュージック」アプリのライブラリーにある、既存のAAC形式の音楽を片っ端からロスレスに入れ替えてやらないと気が済まなくなる。CDから取り込んだ楽曲はまたCDから取り込み直し、ダウンロード購入した楽曲は再ダウンロード。ちょっと面倒だけど、まあ気長にやって行こう。

ところで、作業を始めて面白い事に気が付いた。入れ替え後の曲をたまたまAirPods Proで聴いていたところ、入れ替え前より音が良くなっている気がする。Macと接続していて気付いたのだが、iPhoneと接続して聴いても同じく良い音になっているようだ。これはどういう事か?

最初はAACからロスレスにアップグレードしたんだから当たり前かと単純に受け止めていたが、よく考えるとAirPodsのようなBluetooth接続のワイヤレスオーディオは、たとえロスレス音源であってもApple AAC Bluetooth Codecにより伝送の時点で結局はAAC形式に圧縮変換される。という事は、音が良くなったと感じるのは気のせいなのか?

実はそうでもないらしい。これは、伝送時にAAC変換される前の楽曲データのクオリティーが関係していて、既に情報が間引きされているAAC形式のデータを再びAAC変換したものより、完全な形のデータを初めてAAC変換したものの方がクオリティーは高いという事。だから、やっぱりライブラリー内の音楽はロスレスに上げておいた方がいいわけだ。

そんなこんなで、ウチのMacのオーディオ環境はハイレゾ対応を果たし、音楽データの入れ替えでワイヤレスオーディオの音質もそれなりにアップする。よしよし。

そうなると、やっぱり音の出口に当たるヘッドフォンをなんとかしたい。導入したオーディオインターフェイスMOTU M2に挿しているヘッドフォンは、16年ほど前に購入したSONYMDR-CD900ST。プロ向けのスタジオモニターという事で、解像度の高いカッチリとした音で音域のバランスも良いのだが、高域が耳に刺さるし響きもどこか不自然なのが気になっていた。その割に低音域はいまいち量感不足で、全体にギスギスした音のせいか聴き疲れしやすい。ほぼ同時期に購入した同じくSONYMDR-7506は、低音域の量感はそこそこあるものの高域寄りの音域バランスで、全体にドンシャリな感じがするためこれも長く使う気になれず、押し入れの肥やしになっていた。久しぶりに引っ張り出して使い始めたのだが、聴いているうちにシャリシャリ感が耳に付いてやっぱりムリ。イヤーカップが折りたたみ式で伸縮式のカールコードに標準ステレオプラグアダプター付きの3.5mmステレオミニプラグは何かと便利なのだが。ちなみにこの2機種とも音楽業界では定番中の定番だそうで、日本国内ではCD900STが、海外では7506が多く使われているらしい。また、PCMレコーダーの録音モニター用として以前購入したAKG(アーカーゲー)のK371は、脱着式のコードが3種類付属しこれも標準プラグアダプター付きの3.5mmミニプラグ。音は低域から高域までそこそこバランス良く出ているようなのだが、平板というかのっぺりした音で立体感が感じられず、聴いていて楽しくないのでこれもパス。結局、手持ちのヘッドフォンは全滅か。新しいヘッドフォンを買うしかないのか。

SONY MDR-CD900ST

SONY MDR-CD900ST


SONY MDR-7506

SONY MDR-7506

 

AKG K371

AKG K371

 

求めるのは、高解像度でありながら必要以上にエッジを効かせないタイプで、音域は極力フラットで広く、中庸かやや低域寄りのバランスである事と、前後左右の楽器の位置が分かりやすい事、といったところか。あとはやっぱり折りたたみ式で何種類かコードが付属している方がいいし、特にカールコードは必須だな。そしてプラグは標準プラグアダプター付きの3.5mmミニプラグ。これで行こう。

求めよさらば与えられん。(新約聖書「マタイ伝」より)

今までスタジオモニター的なものを使って来たので今回もその線であたってみた結果、audio-technicaのATH-M50xという機種が要求に見合っていそうなのでポチった。

audio-technica ATH-M50x外箱

このメーカーのヘッドフォンを使うのは初めてだが、国内だけでなく海外でも定番として人気の機種らしいんだな。

主要スペックは次の通り

  • 45mm径CCAWボイスコイルドライバー
  • 再生周波数帯域:15〜28,000Hz
  • インピーダンス:38Ω
  • 感度:99dB/mW
  • 最大入力:1,600mW
  • 重量(コード除く):285g

付属品

  • 1.2mカールコード、1.2mストレートコード、3mストレートコード
  • 6.3mm標準変換プラグ
  • ポーチ
  • 取扱説明書及び保証書
  • コードの装着方法説明書
  • ヨーロッパ電子機器回収システムに関する案内及び中華人民共和国環境法規制に関する案内

ATH-M50xと付属品

説明書類

付属の1.2mカールコードは、ヘッドフォンをかけたままデスク周りをウロチョロしてもちゃんと追従してくれるので具合が良い。

基本的に持ち歩かないのでポーチはあまり使い道がないが、質感が良いので何かに使いたい。とりあえず年金手帳でもしまっておこうか。

ポーチの使い道

 

MOTU M2に挿して音を聴いてみたが、先述の要求内容に面白いように合致しているので思わずニヤけてしまった。モニター用にしてはちょっと低音強めな感じだが、それでも締まった解像感のある低音なのでこれはこれで悪くない。本当に求めれば与えられるものなんだな。アーメン。

 

畳んだ状態のATH-M50x

畳んだ状態のATH-M50x。

 

プニプニなイヤーパッド

イヤーパッドは猫の肉球並みのプニプニ感

 

これでMac周りのオーディオ環境はひとまず整った。ヘッドフォンに感じていたモヤモヤもスッキリ解消して、これからは夜中にトイレに起きる事もなくなるかな?

外付けDACでハイレゾを聴く

Apple Musicのライブラリ等にある音楽は、普段はHomePod miniとかAirPods Proで聴いている。だが、HomePod miniはともかくAirPodsのようなBluetoothのワイヤレスオーディオは、伝送の過程で圧縮がかかるためワイヤードより音質面では不利になる。せっかくのロスレス音源も、情報を削ぎ落とされて耳に届いている。なんだかもったいない気がするが、敢えて利便性とか見た目のスマートさを優先させているわけだ。

ワイヤードなヘッドフォンなら、そういう中間搾取みたいな事もなく情報が100%耳に届くので、じっくり聴きたい時は愛機MacBook Airにヘッドフォンを挿している。ちなみに今使っているヘッドフォンはSONYの定番スタジオモニターMDR-CD900ST。音楽を楽しむというより録音モニター用なのだが、なんでそんなものを持っているのかというと、以前レコードとかカセットテープのアナログ音源をデジタル化してMacに取り込んでいた事があり、当時持っていた、というか今も家にあるが、AKG(アーカーゲー)のK501という開放型ヘッドフォンで録音チェックをしたところ、開放型のため周りの雑音に邪魔されて作業に集中出来ないので密閉型が欲しくなり、どうせ買うならプロ向けのしっかりした物をという事で買って来た、というわけ。プロでもないのに。

 

AKG K501

AKG K501。繊細だが低音のボリューム感に乏しく物足りない音。

 

SONY MDR-CD900ST

SONY MDR-CD900ST。プロ用らしくキチッとした音だが長時間の鑑賞はちょっとキツいかも。

 

今まではそれでよかった。ロスレス音源は量子化ビット数が16ビットないし24ビット、サンプルレートは44.1kHzないし48kHz。つまり一般オーディオCDと同等かそれよりちょい上のレベル。ちなみに愛機MacBook Airは32ビット96kHz対応なので、とりあえずは問題ないと思っていた。

MacBook Airの外部ヘッドフォン端子スペック

しかーし、最近は更にその上を行く192kHzの"ハイレゾロスレス"が登場して来て、この恩恵に浴するにはこれに対応する高性能DACを搭載した外部ハードウェアが必要になるという。

ハイレゾ変更時のアラート

えぇぇ...?

ただ、欲さえかかなければこれは必ずしもマストアイテムではない。現状に満足していれば無用の代物なのだ。それでも、世の中にそういうものがあって、ある程度の投資で享受出来るなら、手を出したくなるのが人情というもの。

というわけで、最初は有名オーディオメーカーDAC内蔵ヘッドフォンアンプを探していたのだが、そんな中YouTubeで興味深い動画を見た。それによると、いわゆるオーディオメーカーの製品はそのメーカーなりの音作りというか味付けをされている事があり、必ずしもフラットな特性になっていないらしい。逆に楽器メーカーが出している製品だと、その使用目的から音に偏りがなく素直なサウンドが得られるという事だ。なるほど、音楽制作で使う機材はクセのないフラットな特性である事が何より重要なわけだ。ちなみにその動画がこちら。

【ゆっくり解説】PCオーディオをはじめよう!・・中級編~USBDACの選び方、おすすめ紹介 - YouTube

そういう事ならと、なるべくコスパが良くて使いやすそうなオーディオインターフェイスを探し求め、巷で高音質と評判のMOTU M2をポチってみた。機種選択についてはSTEINBERGのUR22Cと最後まで迷ったが、入出力レベルの表示パネルとか電源ON/OFFスイッチ、RCA出力端子がある事からMOTU M2を選んだ。

MOTU M2オーディオインターフェイス

MOTU M2。本来の付属品はUSBケーブルと下の写真の英文の説明書のみだが、輸入元の(株)ハイ・リゾリューション又はその正規ディーラーから購入すると日本語の保証書とカスタマーサポート案内が付く。

付属の資料

 

主なスペックは次の通り。

  1. ダイナミックレンジ 120dB
  2. ESS Sabre32 Ultra DACテクノロジー
  3. 量子化ビット数24ビット
  4. サンプリング周波数192kHz
  5. USB Type-C バスパワー
  6. 2チャンネル アナログ入出力
  7. マイク入力 -129dBu EIN
  8. ループバック対応

楽器を演奏したり配信する事は恐らく一生ないと思うが、ダイナミックレンジ120dBにESS DACテクノロジー、24ビット/192kHzというスペックは大きな魅力。これでハイレゾロスレスもドンと来い!だ。

当面はシンプルにヘッドフォンアンプとして使って行くが、Macに直挿しした時と比べて音質にどれだけ違いがあるのかチェックしたところ、S/N比が高く音の分離も良いので一音一音が際立っている。うっすらとあったモヤが晴れて見通しが良くなった感じだ。いいな!コレ!

さて、いよいよハイレゾロスレス音源での検証。Apple Musicでハイレゾロスレス音源を探したところ、マイルス・デイヴィスのKind of Blueが登録されていた。しかもハイレゾの他に16ビット/44.1kHzのロスレスバージョンもあるので、比較するには持って来いだ。1曲目のSo Whatを聴き比べてみたが、ロスレスバージョンが普通にキレイに聴こえていたのに対し、ハイレゾの方はその場の空気感まで伝わって来るようなリアリティが感じられた。やっぱり違いはあるんだと、つくづく思った。このKind of Blueについては180g重量盤のレコードを持っていて、ピュアオーディオのシステムでよく聴いているのだが、24ビット/192kHzのハイレゾロスレス音源の響きはこのアナログオーディオとよく似ている気がして、なんだか不思議。

あ?でもないか。ビット数やサンプリング周波数を高くするのは、本来のアナログサウンドにより近づけるためだっけ。

今回の買い物は正解だった。一ヶ月もウダウダ悩んだ甲斐があった。これからはヘッドフォンで聴く機会が増えそう。だけどそうなるとCD900STはちょいとツラいな。何か考えるか。